「とりあえずやってみる」か「判断してから動く」か、事業側が選ぶべき基準

落ち着いた雰囲気のデスクで考え事をする様子

「とにかく小さく試してみればいい」という意見と、「きちんと判断してから動くべきだ」という意見、どちらも間違いではありません。しかし、世の中に出回る情報は「スピード重視・とりあえず試す」に偏りがちで、どちらを選ぶべきかを見極める基準まで教えてくれるものは多くありません。この記事では、事業側の立場で2つの意思決定スタイルを使い分けるための基準を紹介します。

この記事のポイント

  • 撤退・後戻りのコストが低い施策は、まず小さく試してみる価値がある
  • 後戻りしにくい施策(契約・体制変更を伴うもの)は、判断してから動くべき
  • 「試す」ことにもコストがあることを忘れず、無条件に飛びつかない

なぜ「スピード重視」の情報ばかりが目立つのか

ビジネスの意思決定に関する情報の多くは、「完璧主義をやめて、とにかく動け」というメッセージに偏っています。分析や検討に時間をかけすぎて動けなくなる「分析麻痺」への警鐘としては正しい指摘ですが、この考え方をあらゆる場面に一律に当てはめてしまうと、本来慎重に判断すべき場面でも「とりあえずやってみよう」と拙速に進めてしまう危険があります。大切なのは、スピード重視か慎重な判断かを、場面に応じて使い分ける基準を持つことです。

2つのスタイルを使い分ける基準

①撤退・後戻りのコストで考える

最も重要な基準は、「うまくいかなかったときに、どれだけ簡単に元に戻せるか」です。少額の広告出稿やSNS投稿の試行など、うまくいかなければすぐにやめられる施策であれば、悩みすぎずにまず小さく試すという判断が合理的です。一方、長期契約を伴う代理店契約、サイトの全面リニューアル、人員の増員など、後戻りに時間とコストがかかる意思決定は、試す前にしっかり判断すべき場面です。

高丸の視点

代理店側でも事業側でも、後戻りしやすい施策は積極的に試す会社ほど改善のスピードが早く、逆に後戻りしにくい意思決定を勢いで決めてしまう会社ほど、後になって苦労している印象があります。この軸を意識するだけで、判断の質は大きく変わると感じています。

②「試す」ことそのものにもコストがあることを忘れない

「撤退コストが低いから、とにかく試そう」という判断も、行き過ぎると問題になります。試すこと自体にも、社内の工数、担当者の負担、他の施策への集中力の分散といったコストが発生します。「撤退しやすいから何でも試してよい」のではなく、「試す価値がありそうなものを、撤退しやすい形で試す」という順序を意識してください。

③自分がどちらの傾向に偏りやすいかを自覚する

人によって、あるいは会社の文化によって、「とにかく試したがる」傾向と「慎重になりすぎて動けない」傾向のどちらかに偏りがちです。自分(または自社)がどちらに偏りやすいかを自覚しておくと、①②の基準を当てはめる際に、自分の判断がどちらかに寄りすぎていないかを客観的にチェックしやすくなります。

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具体例で考える

たとえば「新しい広告メニューを少額で試してみる」という提案であれば、撤退コストは低いため、まず試してみるという判断で問題ないことが多いでしょう。一方、「広告代理店を今の会社から乗り換える」「新しくWeb担当を採用する」といった意思決定は、後戻りに時間とコストがかかるため、判断してから動くべき場面です。同じ「新しいことを始める」という意思決定でも、後戻りのしやすさによって適したスタイルが変わることが分かります。

1つの施策を実施すべきかどうかを、より具体的な4つの質問で判断したい場合は、「その施策、本当に今やるべき?」を判断するための思考フレームもあわせてご覧ください。

それでも判断がつかない場合

撤退コストの見積もりや、自分の判断傾向の自覚は、意外と自分だけでは気づきにくいものです。事業目線で、その施策の撤退コストや判断の緊急度を一緒に整理してくれる第三者(事業側のWeb担当)に相談することも、有効な選択肢の一つです。

まとめ

「とりあえずやってみる」か「判断してから動く」かに迷ったときは、「撤退・後戻りのコストの大きさ」を基準に考えてみてください。撤退しやすいものは小さく試し、後戻りしにくいものは判断してから動く。この基準を持つだけで、一律の「とにかく動け」という情報に流されず、状況に応じた意思決定ができるようになります。

よくある質問

Q「とりあえず試す」派と「判断してから動く」派、どちらが正解ですか?

Aどちらか一方が常に正解ということはありません。撤退のしやすさによって使い分けるべきものであり、大切なのは自分がどちらの傾向に偏りやすいかを自覚し、状況に応じて意識的に選ぶことです。

Q「小さく試す」こと自体にコストはかからないのでしょうか?

A「試す」ことにも、時間・予算・社内の混乱といったコストは発生します。撤退コストが低いからといって、無条件に試してよいわけではなく、試すこと自体のコストも踏まえて判断する必要があります。

Q自分が完璧主義で動けないタイプかどうか、どう見極めればいいですか?

A撤退コストが低い施策に対しても、情報収集や検討ばかりに時間をかけてしまう傾向があれば、慎重になりすぎている可能性があります。逆に、後戻りしにくい施策でも即断してしまう傾向があれば、スピード重視に偏りすぎている可能性があります。

Qこの基準は、広告以外の施策にも使えますか?

A使えます。撤退・後戻りのコストという軸は、広告・採用・システム導入など、事業判断全般に共通する考え方です。

Q自分の判断スタイルに自信が持てない場合はどうすればいいですか?

A事業目線で、その施策の撤退コストや判断の緊急度を一緒に整理してくれる第三者に相談することも、有効な選択肢の一つです。

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