Web担当者がいない会社が、まず最初にやるべきこと

Web担当者がいない会社がまず最初にやるべきことを検討する様子

「ホームページはあるが、誰も管理していない」「担当者が退職してから、更新も広告も止まったまま」——こうした状態のまま、Web集客の機会を取りこぼし続けている中小企業は少なくありません。

Web担当者がいない会社にとって難しいのは、「何をすればいいか分からない」ことよりも、「何から手をつければ、遠回りせずに済むか」が見えないことです。この記事では、Web担当者が不在の会社が最初に取り組むべきことを、優先順位をつけて整理します。

この記事のポイント

  • 最初にやるべきは「担当者を置くこと」ではなく「現状整理」(予算の棚卸し・施策整理・意思決定者を1人決める)
  • 整理ができたら、「採用する」「外注する」「事業側のWeb担当に伴走してもらう」の3つの選択肢を検討する
  • 全部を一気にやろうとする、代理店の提案を鵜呑みにするといった失敗パターンを避ける

Web担当者不在の会社に起きやすい3つの問題

まず、Web担当者がいない状態を放置すると、具体的にどのような問題が起きやすいのかを整理します。

1. 更新停止によるサイトの信頼性低下

お知らせや実績が何年も更新されていないサイトは、訪問者に「この会社は今も営業しているのだろうか」という不安を与えます。特にBtoBの取引では、企業サイトは名刺代わりの役割を果たすため、情報が古いままだと、営業担当者がどれだけ丁寧に対応していても、信頼獲得の妨げになります。

採用面でも同様の影響があります。求職者の多くは応募前に企業サイトを確認しますが、更新が止まっているサイトからは「この会社は今、成長しているのだろうか」という印象を持たれやすく、営業面だけでなく採用面でも機会損失につながります。

2. 代理店任せになり、成果検証ができない

広告代理店や制作会社に依頼している場合でも、社内に判断できる人がいないと、「レポートは届くが、それが良い数字なのか悪い数字なのか分からない」という状態が続きます。結果として、施策の良し悪しを検証できないまま、費用だけが継続的に発生する状況になりがちです。

これは代理店の質の問題というより、構造的に起きやすい状態です。代理店側は依頼された範囲の数字は把握していても、事業全体の利益構造までは把握していないことが多く、事業側でその数字を評価する視点を持っていないと、良い提案も悪い提案も同じように受け入れてしまうことになります。

高丸の視点

代理店側にいた頃、送ったレポートに何の質問も返ってこない企業ほど、実は検証が行われていないというケースを数多く見てきました。良い提案も悪い提案も同じように受け入れられてしまう状態は、代理店側から見ても健全とは言えません。

3. 「誰が意思決定するか」が曖昧なまま施策だけが進む

Web担当者がいない会社では、広告代理店・制作会社・SNS運用など、それぞれの窓口が別々の部署や個人に紐づいてしまい、全体を把握している人が誰もいない、という状態に陥りやすくなります。この状態では、施策同士が連携せず、部分最適の積み重ねで終わってしまいます。

たとえば、広告代理店は広告の成果だけを見て改善を提案し、制作会社はサイトのデザインだけを見て改善を提案します。それぞれの提案は間違っていなくても、全体としてどこに投資すべきかを俯瞰する視点がなければ、限られた予算が場当たり的に使われてしまいます。

最初にやるべきは「担当者を置くこと」ではなく「現状整理」

Web担当者が不在だと分かると、多くの会社はまず「採用する」「誰かに任せる」という人の手当てから考えがちです。しかし、実際に最初にやるべきなのは、現状の整理です。

何にどれだけ予算をかけているかの棚卸し

広告費、制作費、保守費用など、Webに関連する支出を洗い出します。誰がどの契約を管理しているか分からない状態のまま新しい施策を始めると、同じような施策に重複して費用を払っていたり、逆に必要な保守が抜け落ちていたりすることがあります。

今動いている施策の整理

広告・SEO・SNS・LPなど、現在動いている施策を一覧化し、それぞれの目的と現状の数字を確認します。この段階では、詳細な分析は不要です。「何が動いていて」「誰が担当していて」「いつから続いているか」が分かるだけで十分です。

意思決定者を1人決める

現状整理と並行して、社内で「最終的にWeb集客の判断をする人」を1人決めておきます。この人がすべての実務を担う必要はありません。重要なのは、複数の代理店や制作会社からの提案・報告が、最終的に1箇所に集約される状態を作ることです。

意思決定者に求められるのは、専門知識よりも「事業の状況を理解していること」と「最終的に判断する責任を持てること」です。Webに詳しい人を探すのではなく、事業の数字や優先順位を把握している人(経営者自身や、事業に近い立場の社員)を窓口にするほうが、結果的にうまく機能するケースが多くあります。

社内に判断できる人材がいない場合は、無理に決めようとせず、外部の第三者に相談役として入ってもらうという選択肢もあります。

見落とされがちな「管理情報」も併せて確認する

現状整理と同時に、Webサイトに関する管理情報も洗い出しておくことをおすすめします。特に、過去の担当者の退職や異動をきっかけにWeb担当者不在になった会社では、以下の情報が「誰も把握していない」状態になっていることが少なくありません。

項目確認する内容分からないと困ること
ドメイン・サーバー契約先・管理者・更新時期更新忘れによるサイト停止
CMS(サイト管理画面)ログイン情報・管理者権限更新作業ができなくなる
広告アカウント管理者権限・請求先広告の停止・引き継ぎ不可
問い合わせフォーム通知先メールアドレス問い合わせの見落とし
アクセス解析(GA4等)権限・アカウント所有者成果検証ができなくなる

この情報は複雑な管理システムを用意する必要はなく、社内で共有できる簡単な一覧表にまとめておくだけで十分です。管理情報が明確になっているだけで、今後誰かに依頼する際のやり取りが大幅にスムーズになります。

経験豊富なWeb担当の採用に頭を悩ませる担当者

現状整理ができたら、次に考えるべき3つの選択肢

現状が整理できたら、次はWeb集客をどのような体制で進めるかを検討します。主な選択肢は3つです。

選択肢向いているケース注意点
採用する継続的に一定量の業務があり、社内で育成する余裕がある採用・育成にコストと時間がかかる。離職リスクもある
外注する特定の業務(広告運用やSEO記事制作など)を切り出して依頼したい判断や優先順位づけまでは担ってもらえないことが多い
事業側のWeb担当に伴走してもらう判断役がおらず、施策の全体像を整理してほしい実務のすべてを代行するわけではない場合がある

3つは排他的な選択肢ではありません。たとえば「実務は外注しつつ、判断の部分だけ事業側のWeb担当に伴走してもらう」といった組み合わせも可能です。自社にとって何が不足しているのか(実行するリソースか、判断する視点か)を切り分けて考えることが重要です。

それぞれの選択肢について、もう少し詳しく見ていきます。

採用する場合:継続的にWeb業務が発生し、社内でノウハウを蓄積したい場合に向いています。ただし、採用してから実務に慣れるまでには一定の時間がかかり、即戦力を採用しようとすると人件費も相応に高くなります。また、採用できたとしても、その担当者1人がすべての専門領域(広告・SEO・デザイン・分析)をカバーするのは現実的に難しく、結局一部の業務は外部に依頼することになるケースも多くあります。

外注する場合:特定の業務範囲を明確に切り出せる場合に向いています。ただし、外注先は基本的に「依頼された範囲」を実行する立場のため、そもそも何を依頼すべきかという手前の判断は、発注する側で行う必要があります。この判断を誤ると、外注先がどれだけ優秀でも、成果にはつながりにくくなります。

事業側のWeb担当に伴走してもらう場合:判断役の不在が最大の課題である場合に向いています。実務のすべてを巻き取るわけではないため、実行リソースそのものが不足している場合は、別途外注や採用と組み合わせる前提で検討するとよいでしょう。

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やってはいけない失敗パターン

最後に、Web担当者不在の会社が陥りやすい失敗パターンを2つ紹介します。

全部を一気にやろうとして中途半端になる

「広告もSEOもSNSも同時に始めよう」という進め方は、担当者不在の会社では特にリスクが高くなります。それぞれの施策には確認・改善のための時間が必要で、すべてを同時に始めると、どれも検証が追いつかず中途半端になりがちです。まずは1つか2つの施策に絞り、型ができてから広げるほうが、結果的に早く成果につながります。

代理店の提案をそのまま鵜呑みにする

判断できる人がいない状態のまま代理店に依頼すると、「専門用語を使われると、正しいのかどうか判断できず、そのまま受け入れてしまう」ということが起こりがちです。提案を鵜呑みにするのではなく、「なぜ今その施策なのか」「やらない場合のリスクは何か」を確認する習慣をつけることが、成果を左右する分かれ目になります。

代理店の提案を判断する軸について詳しくは、代理店の提案が正しいか判断できないときに、まず確認すべき3つのこともあわせてご覧ください。

完璧な体制を最初から作ろうとする

Web担当者不在の状態を立て直そうとするとき、「きちんとした運用フローを最初から整えなければ」と考えすぎてしまうケースもよく見られます。しかし、体制は動かしながら整えていくもので、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは現状整理と意思決定者の設置という最低限の土台を作り、実際に運用しながら足りない部分を調整していくほうが、結果的に早く軌道に乗ります。

よくある質問

QWeb担当者がいなくても、ホームページの運用は続けられますか?

A続けられます。すべてを社内で行う必要はなく、社内窓口(判断する人)と、実務を担う外部パートナーを分ける体制であれば、専任者がいなくても運用は回せます。重要なのは、誰かが専門知識を持つことよりも、依頼・承認・確認の流れが決まっていることです。

Q最初に確認すべき情報はありますか?

Aドメイン・サーバーの契約情報、CMSの管理権限、問い合わせフォームの通知先、広告アカウントの管理者権限など、「誰が管理しているか」が分からなくなりがちな情報から確認しておくと、後の引き継ぎがスムーズになります。特に過去の担当者が退職・異動している場合は、この確認を最優先で行ってください。

Q兼務でWeb担当を任されていますが、何を優先すべきですか?

Aまずは現状整理(支出の棚卸しと施策の一覧化)を優先してください。すべての施策を深く理解しようとするより、全体像を把握することが最初のステップです。専門的な実務は、把握した上で外部に依頼する形でも問題ありません。

Q採用・外注・伴走支援、どれを選べばいいか分かりません。

A「実行するリソースが足りないのか」「判断する視点が足りないのか」を切り分けて考えると選びやすくなります。判断役が不在であれば、伴走型の支援を検討する価値があります。組み合わせて活用することも可能です。

Q代理店の提案が正しいか分からない場合、どうすればいいですか?

A提案の理由(なぜ今その施策なのか)と、やらない場合のリスクの両方を確認する習慣をつけることが第一歩です。より詳しい判断軸については、代理店の提案が判断できないときに確認すべきことをまとめた記事も参考にしてください。

Q現状整理には、どのくらいの時間がかかりますか?

A会社の規模や施策の数にもよりますが、支出の棚卸しと施策の一覧化だけであれば、数時間から1日程度で最低限の整理は可能です。完璧に仕上げる必要はなく、まずはおおまかな全体像をつかむことを優先してください。

まとめ

Web担当者がいないこと自体は、珍しいことではありません。重要なのは、その状態を放置せず、現状整理から始めることです。予算と施策の棚卸しを行い、社内の意思決定者を1人決めた上で、採用・外注・伴走支援のどれが自社に合っているかを検討する。この順番を守ることが、遠回りをしないための最初の一歩になります。

判断から実行まで、事業側の視点で伴走します。

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